親鸞聖人御旧跡学習会Vol.4

【大悲に生きる~親鸞聖人の草庵を訪ねて】

高岡教区教化委員会研修部門主催による宗祖親鸞聖人ゆかりの御旧跡を訪ね、聖人の求道のご生涯とその行実に学ぶ現地学習会も4年目に入りました。

今年度は2018年(平成30年)6月4日(月)~6日(水)の2泊3日の行程にて、北関東の聖人の草庵を中心に巡り、今井雅晴(筑波大学名誉教授)先生に引き続きご同行願い、現地にて様々な見地からお話をいただきました。

その様子を紹介します。

【第1日目(6/4)】

高岡教務所を大型バス1台で7:00に出発し、北陸高速道までその間2か所で参加者を乗せ、いざ北関東へ!参加者は37名です。

13:30頃に今回最初の草庵跡地の室の八島(むろのやしま)の草庵跡(栃木県栃木市)今井先生と合流しました。

『親鸞伝絵』には越後から移住した聖人が室の八島付近を歩く様子が描かれており、地元の人に頼まれて人々に災いをなす大蛇を済度し、その後も住まれた地であると言われています。

現在は、大神(おおみわ)神社付近にその草庵跡地が宇都宮市の本願寺派安養寺の飛地境内に設けられています。

次に茨城県下妻市の大谷派『光明寺』を訪ねました。鎌倉時代に三浦荒次郎義忠という武士が小島の郷(小島の草庵)に居住していた聖人の門弟となり、明空(関東六老僧第二番開基)という法名を賜り建立した道場がこの寺とされています。『親鸞聖人門侶交名』をはじめとする数多くの宝物があります。

光明寺を出てほどなく『小島の草庵跡』があります。常陸の国で聖人が最初に滞在したとされる地を見学しました。

次に『千勝(ちかつ)神社』を車窓より見学しました。ここは聖人と共に越後から移った妻の恵信尼さまが、観音菩薩の生まれ変わりが聖人であるとの夢を見た場所とされる地です。

その後、初日の宿泊先である筑波山中腹の筑波温泉ホテルにて参加者と懇親を兼ね宿泊しました。

【第2日目(6/5)】

二日目は聖人法難の地とされる茨城県石岡市の本願寺派『大覚寺』『板敷山』を最初に訪ねました。後鳥羽上皇の第三皇子であった大覚がこの地に草庵を建て、笠間の稲田に居住していた聖人に帰依し、善性房と名乗り教化を助けたとされる地です。

また、近くの板敷山では、聖人を待ち伏せ危害を加えようとした山伏 弁円(べんねん)が使用したとされる護摩壇跡を見学しました。板敷山の登山は、結構足にきました。皆さんがんばって登りました。

次に聖人が関東において最も長く滞在された茨城県笠間市の浄土真宗単立寺院の『稲田草庵跡 西念寺』を訪れました。『教行信証』を執筆されたところとしても有名です。境内には聖人の頂骨を納めたとされる『聖人御廟(六角堂)』や本堂内には「真宗最初門」の額が掲げられています。また、板敷山で待ち伏せたとされる山伏 弁円がこの地で回心し明法房という法名をいただいたところといわれています。

境内を少し離れたところには聖人が京都へ戻られる際に、名残を惜しんでたたずまれたとされる「見返り橋」があります。

続いて、茨城県水戸市の聖人直弟子の唯円が道場を開いたとされる大谷派『報仏寺』を訪れました。唯円は『歎異抄』の編纂者とされていることでも有名です。建物は旧河和田城跡の一角に移され現在に至っています。『帰命儘十方無碍光如来(きみょうじんじっぽうむげこうにょらい)』の十字名号も宝物となっています。

二日目最後の見学地として、茨城県水戸市の日本三名園として有名な『偕楽園』を散策しました。公園としては世界第2位の広さを誇るそうです。広大な梅林や徳川第15代将軍の父である斉昭が設計した「好文亭」など園全体で陰陽の世界を体現しているともいわれています。2015年には日本遺産に認定されています。

偕楽園を後に宿泊先のアパホテル水戸駅前にチェックイン。皆で茨城名物の自家製豆腐懐石鍋料理に舌鼓を打ち、それぞれ水戸の街に魅せられながら夜を満喫された様子です。

【第3日目(6/6)】

いよいよ旅の最終日です。

ホテルを後に、茨城県那珂市の大谷派『大山草庵跡 阿弥陀寺』を最初に訪れました。越後から関東に移った聖人は大山に草庵を結ばれたといわれて、これが同寺の始まりと伝えられています。この地区は、聖人の教えを彫刻や絵画にして伝え残すことに熱心だったそうで、同寺には、円仁作といわれる御本尊(阿弥陀如来立像)や三尊六高祖荘厳など多数の宝物があります。

次に栃木県真岡市にある高田派『専修寺』を訪ねました。道中には『三谷草庵跡』もありました。専修寺は高田門徒の本拠地となり、高田派本山の旧地であり、同派では本寺とも呼ばれています。国指定史跡でもある広大な境内には勇壮な伽藍が立ち並び、総門、山門、御影堂(同派では「みえいどう」と読む)、如来堂など数多くの国指定の重要文化財があります。聖人直弟子の真仏、顕智両上人を同寺の二代目、三代目としています。

旅もいよいよ終わりです。

専修寺を後に、小雨の中、最後の訪問地である、群馬県富岡市の『富岡製糸場』を訪ねました。

ご承知のように2014年に世界遺産に登録された日本初の本格的な機械製糸工場です。場内には開業当時の繭所や繰糸所(いずれも国宝)など点在しています。また、敷地を含む全体が国の史跡となっており解説員によるガイドツアーにて説明を受けました。

製糸場近くの上州富岡駅にて今回大変お世話になった今井雅晴先生とお別れし帰路へ。

途中、おぎのや長野店でお土産を求め、日本海へ抜けると雨も止んでおり、車窓から見える夕日がとてもきれいでした。

参加者それぞれの降車場所には、予定時刻より1時間遅れの到着でしたが、誰一人怪我等なく無事帰還しました。

皆さん、お疲れ様でした!

特に、ご多用の中、ご同行いただいた今井雅晴先生には、親鸞聖人がご家族とともに東国において歩まれた道を研究と史実に基づいた観点からご教授いただいたことは大変有意義でした。あらためて感謝申しあげます。

次回Vol.5は、2019年(平成31年)6月4日(火曜日)~6日(木曜日)2泊3日にて、親鸞聖人のお弟子さんゆかりの関東御旧跡を中心とした現地学習会を今年度の反省も含め企画・開催の予定です。その際も今井雅晴先生にご同行願う予定です。

今回、参加された方、また新たに興味を持たれる方は、是非とも参加くださいますようよろしくお願いします。

研修部門連絡員 峰 慎樹